『ドラゴンボール』の生みの親である鳥山明氏が、アニメ『ドラゴンボールDAIMA』で試みたのは、初期作品の持つ牧歌的な世界観とコメディ要素の再構築だった。本記事では、『DAIMA』に込められた鳥山氏の思いと、作品の魅力について深掘りしていく。
魔人ブウ編で見せた鳥山明のコメディ回帰
- 魔人ブウ編では、初期の『ドラゴンボール』に見られた楽しい世界観が復活
- バトルとコメディのバランスが絶妙な魔人ブウ編は、ファンにも好評
- 『DAIMA』では、この魔人ブウ編の方向性をさらに推し進めている
『ドラゴンボール』の連載終了後、鳥山明氏は『SAND LAND』などの優しい作風の漫画を発表してきた。しかし、魔人ブウ編では再び初期の『ドラゴンボール』を思わせるコメディタッチが復活。『DAIMA』は、この魔人ブウ編の方向性を継承し、さらに推し進めた作品と言える。
鳥山氏は、自身が生み出したバトル漫画の面白さを残しつつ、コミカルで楽しい作品に回帰することを目指したのではないだろうか。『DAIMA』は、その集大成とも言える作品なのだ。
子ども姿の悟空たちが繰り広げる大魔界冒険記
- 物語は魔人ブウ編の後から始まり、悟空たちは子どもの姿に変えられてしまう
- 元の姿に戻るため、悟空たちは大魔界へと冒険の旅に出る
- 子ども姿の悟空たちのデザインは、初期の『ドラゴンボール』を思わせる可愛らしさ
『DAIMA』の物語は、魔人ブウ編の後から始まる。大魔界の新たな王となったキング・ゴマーによって、悟空たちは子どもの姿に変えられてしまうのだ。元の姿に戻るために、彼らは大魔界へと冒険の旅に出ることになる。
子ども姿の悟空たちのデザインは、丸っこくてかわいらしく描かれており、初期の『ドラゴンボール』のキャラクターを彷彿とさせる。大魔界を旅する様子も、初期の展開を思い起こさせるものがある。鳥山氏が『DAIMA』で目指したのは、まさにこの原点回帰だったのだろう。
バトルとギャグの融合 – 『ドラゴンボール』の真髄
- 『DAIMA』では、バトルシーンもしっかりと描かれている
- しかし、殺伐とした戦いではなく、子ども同士の喧嘩のような描写が特徴的
- ゴマーたち魔界の住人も、子どもっぽく描かれている
『DAIMA』では、バトルシーンも欠かさず描かれている。しかし、その描写は殺伐とした殺し合いというよりは、子ども同士の喧嘩のようなものだ。ゴマーをはじめとする魔界の住人たちも、子どもっぽく描写されている。
この「バトル」と「ギャグ」の融合こそが、『ドラゴンボール』の真髄なのかもしれない。本作の主題歌「ジャカ☆ジャ~ン」の歌詞にも、「何千の一撃(ジャブ)が 変なギャグが待っているんだ」とあるように、『DAIMA』はジャブ(バトル)とギャグの両立を見事に成し遂げた作品なのだ。
鳥山明が『ドラゴンボール』を着地させた『DAIMA』
『DAIMA』は、鳥山明氏が最後に『ドラゴンボール』を牧歌的な世界に着地させた作品だと言える。デジタル作画を駆使し、絵本のような優しい作風で描かれた本作は、『SAND LAND』以降の鳥山作品の流れを汲みつつ、『ドラゴンボール』の原点にも立ち返った、まさに集大成的な一本なのだ。
長年『ドラゴンボール』を愛してきたファンにとって、この『DAIMA』が持つ意味は大きい。鳥山氏が自身の代表作を、ここまで愛情を持って完結させたことに、感慨を覚えずにはいられないだろう。『DAIMA』は、『ドラゴンボール』という伝説的作品に、見事な終止符を打った記念碑的な作品なのである。