『ドラゴンボール』の功罪と鳥山明の葛藤 – 『DAIMA』完結から見えてきた作者の想い

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アニメ『ドラゴンボールDAIMA』が完結し、作者の鳥山明の急逝から1年が経過した。この機会に改めて『ドラゴンボール』の功罪と作者の想いを探ってみよう。

『ドラゴンボール』の変遷 – ギャグ漫画からバトル漫画へ

  • 『ドラゴンボール』は当初、『西遊記』をベースにしたファンタジー漫画としてスタート
  • 連載が進むにつれ、強敵との戦いを中心としたバトル路線へと舵を切る
  • バトル路線への移行に伴い、作者の絵柄も丸っこくかわいらしいタッチからリアルなタッチへと変化

『ドラゴンボール』は、連載開始当初は明るく牧歌的な世界観を持つギャグ漫画だった。しかし、連載が進むにつれて強敵との戦いを中心としたバトル路線へと舵を切り、作者の絵柄も丸っこくかわいらしいタッチからリアルなタッチへと変化していった。この変化は、『ドラゴンボール』の大ヒットに繋がったが、同時に物語がシリアスでハードなものになっていったのも事実だ。

バトル路線への移行は、他の『ジャンプ』漫画にも大きな影響を与えた。多くの作品が『ドラゴンボール』のバトル路線を踏襲することで成功を収めたが、その一方で過剰なバトルのインフレーションが問題視されるようにもなった。『ドラゴンボール』の功罪は、少年漫画界に大きな影響を与えたことにあると言えるだろう。

バトルのインフレーションと時代背景の関係性

  • バトルの過剰なインフレーションは、バブル景気で盛り上がっていた昭和末から平成初頭の日本の空気を反映していた可能性がある
  • 『ドラゴンボール』や当時の『ジャンプ』漫画を読み返すと、バトルの背後にある殺伐とした時代の気分を感じる
  • 『ドラゴンボール』や『ジャンプ』漫画に対する批判の背景には、時代の気分に対する強い反発もあったのではないか

『ドラゴンボール』のバトルの過剰なインフレーションは、バブル景気で盛り上がっていた昭和末から平成初頭の日本の空気を反映していたのかもしれない。当時の日本社会は、経済的な豊かさを背景に、派手で刺激的なものを求める風潮があった。『ドラゴンボール』のバトルシーンは、そうした時代の空気に合致していたと言えるだろう。

しかし、バブル崩壊後の日本社会では、過剰なバトルシーンに対する批判も出てくるようになった。『ドラゴンボール』や当時の『ジャンプ』漫画を読み返すと、バトルの背後にある殺伐とした時代の気分を感じずにはいられない。『ドラゴンボール』や『ジャンプ』漫画に対する批判の背景には、そうした時代の気分に対する強い反発もあったのではないだろうか。

鳥山明自身のバトル路線に対する葛藤

  • 最終章の魔人ブウ編では、バトルが激しくなる一方でコミカルな描写が増えている
  • バトルの中に散りばめられたギャグは、作者自身がバトル路線に疲弊していた証拠ではないか
  • 鳥山明は『ドラゴンボール』を初期の明るく楽しい世界に戻そうと腐心していたように感じられる

『ドラゴンボール』の最終章となる魔人ブウ編では、バトルが激しくなる一方でコミカルな描写が増えている。連載当時は違和感のほうが大きかったそうしたギャグシーンだが、今読み返すと、肥大化したバトル路線に対して作者自身がブレーキをかけようとしていたように感じられる。

鳥山明は、『ドラゴンボール』連載終了後、心身ともに疲弊したのか、長編漫画を描かなくなっていた。しかし、2013年以降は、アニメを通して『ドラゴンボール』の世界を広げる活動を積極的に行っている。このことからも、鳥山明自身がバトル路線に疲弊していたことが伺える。鳥山明は、『ドラゴンボール』を初期の明るく楽しい世界に戻そうと腐心していたのかもしれない。

『DAIMA』完結から見えてきた鳥山明の想い

  • 『DAIMA』は、鳥山明の急逝から1年後に完結した
  • 『DAIMA』では、バトルシーンとギャグシーンのバランスが絶妙に保たれている
  • 鳥山明は、『ドラゴンボール』の本来の魅力を取り戻そうとしていたのではないか

アニメ『ドラゴンボールDAIMA』は、鳥山明の急逝から1年後に完結した。『DAIMA』では、バトルシーンとギャグシーンのバランスが絶妙に保たれており、『ドラゴンボール』本来の魅力が存分に発揮されている。

『DAIMA』の完成度の高さからは、鳥山明が『ドラゴンボール』の本来の魅力を取り戻そうとしていたことが伺える。鳥山明は、バトル路線に疲弊しながらも、『ドラゴンボール』を愛し続けていたのだろう。『DAIMA』は、そんな鳥山明の想いが結実した作品だと言えるのではないだろうか。

『ドラゴンボール』が残した功績と課題

『ドラゴンボール』は、少年漫画界に大きな功績を残した。バトル漫画というジャンルを確立し、多くの作品に影響を与えたことは間違いない。また、世界中で愛される作品となり、日本の漫画文化を世界に広めた功績も大きい。

しかし、その一方で『ドラゴンボール』は、バトルのインフレーションという課題も残した。バトルシーンの過剰な演出は、少年漫画界に一種の歪みを生み出したとも言える。『ドラゴンボール』以降の少年漫画は、バトルシーンの派手さを競うようになり、物語の本質が見失われがちになったのは否めない。

鳥山明の遺したもの – 『ドラゴンボール』の真髄とは

鳥山明は、『ドラゴンボール』を通して、友情や努力、勇気の大切さを説いた。登場人物たちは、仲間との絆を大切にし、困難に立ち向かう勇気を持ち続ける。そうした『ドラゴンボール』の真髄は、バトルシーンの派手さだけでは語れない。

鳥山明は、『DAIMA』を通して、『ドラゴンボール』の真髄を改めて示そうとしたのかもしれない。バトルとギャグのバランスを絶妙に保ちながら、友情や勇気の大切さを描いた『DAIMA』は、まさに『ドラゴンボール』の集大成と言えるだろう。鳥山明は、『ドラゴンボール』の真髄を、私たちに遺してくれたのだ。

『ドラゴンボール』が残した功罪と鳥山明の想い

『ドラゴンボール』は、少年漫画界に大きな功績を残した一方で、バトルのインフレーションという課題も残した。しかし、『DAIMA』の完成度の高さからは、鳥山明が『ドラゴンボール』の本来の魅力を取り戻そうとしていたことが伺える。

鳥山明は、『ドラゴンボール』を通して、友情や努力、勇気の大切さを説いた。バトルとギャグのバランスを絶妙に保ちながら、『ドラゴンボール』の真髄を描いた『DAIMA』は、まさに鳥山明の遺作と言えるだろう。『ドラゴンボール』が残した功罪と、鳥山明の想いを胸に、私たちは『ドラゴンボール』を語り継いでいかなければならない。

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